バンプオブチキン『Sailing Day』とは?
「バンプオブチキン Sailing Day」は、2003年3月12日にリリースされたダブルA面シングル「ロストマン / Sailing Day」の収録曲です。映画『ワンピース デッドエンドの冒険』のエンディングテーマとして書き下ろされ、BUMP OF CHICKEN初のメジャータイアップ曲としても注目されました。
タイアップのオファーを受けた当初、メンバーは「作品に合わせた曲をつくること」に対し強い抵抗を感じていたと語っています。実際、当初は断ることも検討されましたが、最終的には「自分たちらしい曲を作ることが許されるなら」と引き受けることに決定。ボーカルの藤原基央さんは、「この子は着てる服がちょっと派手なだけ」と、あくまでBUMPらしさを失わない楽曲であることを強調しています。
楽曲自体は、前作「ロストマン」とは対照的に、制作期間が非常に短く、わずか数日で書き上げたというスピード感あふれる制作過程でした。BPMは約195と、当時のBUMPの楽曲としては最速。「始まりから終わりまで、一気に駆け抜けるような感覚を大事にした」と藤原さんは語っています。
また、サウンド面ではパワーコードをあえて避け、ローコード(開放弦を含むコード)を活用することで独特の響きを作り出すという工夫がなされました。ライブでも観客と一体になって盛り上がれる“キラーチューン”として、今でも高い人気を誇っています。
「Sailing Day」は、単なる映画主題歌ではなく、BUMP OF CHICKENが貫いてきた“自分たちの音楽”を信じて形にした作品です。次章では、この楽曲の歌詞に込められた意味や考察をさらに深掘りしていきます。
『Sailing Day』の歌詞に込められた意味とは
運命に立ち向かうメッセージ性
『Sailing Day』の歌詞には、「運命への抵抗」というBUMP OF CHICKENらしい強いテーマが込められています。特に印象的なのが、サビに登場するフレーズ「精一杯 運命に抵抗」。
藤原基央さんはこの歌詞について、インタビューで次のように語っています。
「運命っていうのは基本的には変えられないかもしれない。でも、その運命に対して“何とかしてやろう”と思う気持ちや行動には、確かな意味があると思ってるんです」 — 藤原基央|『ROCKIN’ON JAPAN』インタビューより
この言葉からも分かる通り、『Sailing Day』は「どうにもならない現実に対しても、前を向いて進み続けることの尊さ」を歌った曲です。
ワンピースを意識した言葉選び
映画『ワンピース デッドエンドの冒険』のために書き下ろされたこともあり、歌詞の中には“航海”や“冒険”を想起させるワードが多く盛り込まれています。
- 〈帆を張った〉
- 〈舵を取れ〉
- 〈財宝〉
- 〈灯台〉
これらの言葉は、タイアップ先である『ワンピース』の世界観とリンクさせながらも、「バンプらしさ」を失わない表現として取り入れられました。藤原さん自身も「“使っていい言葉”が明確になっていた分、逆に自由に遊べた」と振り返っています。
また、ラストの「僕は僕のままで、どこまでだって行けるはずだから」というフレーズには、「他者にどう見られるかではなく、自分の意志で未来を選ぶ」という、セルフアイデンティティの肯定が強く現れています。
『Sailing Day』の歌詞は、一見ストレートでロックらしい疾走感の中に、深い哲学的なメッセージが丁寧に織り込まれており、ファンの間でも長く愛されている理由のひとつです。
『Sailing Day』の全歌詞は、以下の公式サイトからご覧いただけます。
📎 BUMP OF CHICKEN『Sailing Day』公式歌詞ページ(歌ネット)
『Sailing Day』制作秘話と考察
▲イメージ|『Sailing Day』の勇気と冒険心のイメージ
スピード感と勢いに満ちた楽曲制作
『Sailing Day』の制作は、BUMP OF CHICKENにとっては異例ともいえる短期間集中型で進められました。前作「ロストマン」を約9ヶ月かけて緻密に作り込んだ反動からか、本作は「勢いで書き上げた」と藤原基央さんが語るほど、一気に書き上げられた楽曲です。
このスピード感は楽曲のテンポにも反映されており、BPM195というバンプ史上屈指のハイテンポなロックチューンに仕上がりました。歌詞とサウンドの両面で、「一瞬で駆け抜ける」ような爽快感が意識されています。
録音現場での即興性と自由
レコーディング時には、曲の完成度を高めるためのリハーサル期間もわずか3〜4日程度。藤原さんは一部の音決めをエンジニアと二人きりで進めたと語っており、その過程すら「面白かった」と振り返っています。
また、サウンドアレンジにおいては、一般的なパワーコードを避け、開放弦を使ったローコードにこだわったのも印象的です。このこだわりが『Sailing Day』独特の“広がりのある音”を作り上げ、聴き手に爽快な印象を与えています。
「ロストマン」との対照性
同シングルに収録された「ロストマン」が“迷いながらも歩き続ける旅人”を描いた作品であるのに対し、『Sailing Day』は「目標に向かって一直線に進む姿勢」がテーマ。一枚のシングルに、対照的な2つの旅路が描かれていることが、ファンの間でも語り継がれています。
この対比について、藤原さんは次のように述べています。
「ロストマンは“行き止まりにぶつかっても歩き続ける”旅。Sailing Dayは“希望に向かって突っ走る”旅。真逆だけど、どっちも大事なんですよ」 — 藤原基央|当時のインタビューより
このように『Sailing Day』は、音楽的にもテーマ的にも“自由さ”と“突き抜ける感覚”が詰め込まれた、BUMP OF CHICKENらしいチャレンジングな一曲なのです。
『Sailing Day』のロケ地とミュージックビデオの魅力
幕張メッセで撮影された演奏シーン
『Sailing Day』のミュージックビデオは、ロックバンドとしての勢いと疾走感を視覚的に体現した作品です。撮影は、千葉県にある幕張メッセの広大な駐車場で行われました。吹き抜ける風、地面に反射する太陽光、疾走するカメラワークが、楽曲のテンポと完璧にシンクロしています。
演奏シーンでは、金髪時代の藤原基央さんが、マイクに向かって力強く歌い上げる姿が印象的です。荒々しさと静けさの両方を持つ映像が、楽曲に込められたメッセージ性をより際立たせています。
アーティスト写真とCDジャケットの舞台裏
ジャケット写真の撮影は、蜷川実花さんによって撮影され、藤原さんの当時の自宅ベランダ(中目黒)で行われたという制作秘話も残っています。屋外の自然光と、飾らない表情をそのまま切り取ったようなカットが、BUMPらしい“日常の中の美しさ”を映し出しています。
また、ベランダに置かれた藤原さんの私物や愛用ギターなども映っており、ファンにとっては非常に貴重な一枚となっています。
公式MVはこちら(YouTube)
🎬 ミュージックビデオを視聴する:
▶ BUMP OF CHICKEN『Sailing Day』【Official Music Video】(YouTube公式)
映像からも、楽曲が持つエネルギーと“突き抜ける解放感”を感じ取ることができます。まだ観たことがない方は、ぜひ一度ご覧ください。
バンプオブチキン『Sailing Day』まとめ:歌詞・意味・ワンピースとの関係・ロケ地を一挙解説
バンプオブチキン『Sailing Day』は、2003年にリリースされた代表的ロックナンバーであり、映画『ワンピース デッドエンドの冒険』の主題歌として多くの人に知られています。
歌詞に込められた意味は、単なるアニメタイアップの枠を超え、「自分の意志で運命に立ち向かう」という普遍的なテーマを描いており、疾走感あるサウンドと見事に融合しています。制作秘話やレコーディング背景、MVのロケ地など、細部にまでBUMP OF CHICKENらしいこだわりが詰まっています。
この記事でご紹介した内容を通じて、改めてこの楽曲の深い魅力を感じていただけたのではないでしょうか。ぜひ、公式MVや歌詞ページをチェックして、『Sailing Day』の世界に浸ってみてください。
📎 公式歌詞はこちら:
▶ BUMP OF CHICKEN『Sailing Day』公式歌詞(歌ネット)
🎬 ミュージックビデオはこちら:
▶ 『Sailing Day』【Official Music Video】(YouTube公式)
🌐 公式サイトもチェック:
▶ BUMP OF CHICKEN 公式サイト(ディスコグラフィーや最新情報はこちら)